「Harmorの標準プリセット」のうち、「Tutorials and tricks/Image Synthesis」カテゴリの

-"info"テキストと翻訳
-使ってみてわかったこと

など。

#contents

**Decay.fst
|BGCOLOR(#cccccc):LEFT:120|LEFT:520|c
|info|This demonstrates a sawtooth decaying in both level & brightness. Only the gain plane is used.|
|プリセット情報|このプリセットではノコギリ波の音量(level)と明るさ(brightness)が減衰します。使用しているイメージでは「gain plane(訳注:Harmorが画像を解釈する際にRGB分解する「G(緑)」の部分で、音量として解釈される)」だけが設定されています。|

''訳者コメント:''
「画像シンセシス」機能の「基本の確認」だけなので特にコメントすることはないと言えばそうなんだと思いますが、わたしもすっかり忘れてたので備忘録的に書いておきます。合ってるかは知りませんが私は以下のように理解してます。

HarmorのIMG画面で読み込んだ画像は、
-3原色に分解されて緑の要素と青の要素だけが音として解釈されます。
-画像の縦軸は周波数、横軸は時間として解釈されます。
-この結果、「画像の左下隅の緑色の要素」は「鍵盤を押した瞬間の、そのノートの基音の周波数のサイン波の強さ」となります。例えば「左下隅のピクセルが白(RGB=#FFFFFFで緑が最大値)」の画像を読んで「C4をノートオン」した場合ノコギリ波を構成するサイン波のひとつである「440Hzのサイン波」はたぶん「(Harmorのその他の周辺環境の中で)最大振幅で鳴る」んじゃないかと思います。
-このプリセットで読み込まれる画像の「左端一列」は「下が緑、上が青のグラデーション」なので、「緑要素は下が最大、上が最低」となっています。
-このため、「一番上のピクセルが表している、C4の512倍音」のサイン波は振幅0で鳴る(=鳴らない)ことになります(細かいことを言えばFL Studio仕様上20kHz以上(Harmorは17kHz以上?)は元々鳴らないんだったと思いますが。C0とか低い音なら影響が出てくるはず)。HarmorのVisualizerとかWave Candyとかで見れば低い音が大きく、高い音が小さくなっているのが確認できます。
-画像を右へたどっていくと、細かいことはともかく全体に緑が薄くなって青くなっていきます。このため、音が小さくなっていきます。これがプリセットの説明にある「音量が減衰する(decaying in ... level)」の意味です。左端が上から下まで緑で上下均等に段々薄くなっていく(青に近づいていく)画像だったら「音量が減衰する」という意味になります。
-この画像の場合、緑色の部分は右下がりに面積を減らしていきます。これによって「音量が減衰する」だけでなく「高い音は低い音よりも早く小さくなる」ようになっています。これがプリセットの説明にある「明るさが減衰する(decaying in...brightness)」の意味です。

とかそんなのがこのプリセットが確認しようとしている内容で、画像シンセシスの基礎知識、ということかと思います。
細かいことを言えば「解像度が縦512ピクセルじゃなかったらどうなるの」とかあるんですが、そのへんは「うまいことやっている」ようです。

**Gate.fst
|BGCOLOR(#cccccc):LEFT:120|LEFT:520|c
|info|A simple 2-columns image, acting as a looped gate, smoothed out by the "Cap" interpolation mode. Notice how the image is multiplied with the squarewave oscillator, the image doesn't exclude the oscillators.|
|プリセット情報|このプリセットでは単純な「2カラムの画像」が利用されていて、これが「ゲートのループ」として機能しています。補間モードが「Cap」に設定されているため、音量の変化はスムーズです。このプリセットではTimbreで「矩形波」が設定されていますが、画像はこの矩形波に「乗算」されていて、波形は変化させません。|

''訳者コメント:''
画像を他のツールとかで開いてみると意味がわかりますが、「2カラムの画像」の正体は「縦512に対して横は2ピクセルしかない」もの画像です。

''ゲート:''
ゲートって言葉がどれくらい普及してるのかは知りませんが、「EDM!」とか「ダンスミュージック!」とか言われてどういうものかわかるようなコミュニティでは一般的な言葉のようです。私はよくわかりませんが。
意味的には「''音が鳴ったり鳴らなくなったり(を繰り返したり)する仕組み''」といったニュアンスで使われているようで、たぶん電子工学方面の論理回路とかの文脈の「電気を流したり止めたりする「水門」みたいな意味でのゲート」に由来するんじゃないかと思います。私はよくわかりませんが。
たぶん「ずっと単調になっているシンセサイザー音」というのが身近な前提としてあって、それを、スイッチを切ったり入れたりすることだけで、テンポとかリズムを与えたり心拍数や脳波に干渉して魔法的な精神作用を起こしたりとか、場合によっては周波数でメロディを与えたりとか、単純なON/OFFでなくこのプリセットのように変化時間があったりとか、もっと広い意味で使われているような気もします。
私はよくわかりませんが。

''補間モード:''
「補間(interpolation)」というのはHarmorの画像シンセシスでわりと重要なキーワードかなと思います。このプリセットで指摘のある「CAP補間モード」というのは、イメージで言えば「四角ばったものの角を、軽く落とす」もののようです。
IMG画面の画像の右には、いろいろツマミとかドロップリストが並んでいて、その中の左下のほうにある3つのドロップリストの一番上「LEVEL」と書かれているやつがありますが、それが「Cap」になっています。
これを「Block」に変えると「角をほとんど落とさない」、「Bell」にすると「角を激しく落とす(釣鐘みたいに)」といった意味になるようです。確認してませんがたぶん
-Block=積み木=ずんどう
-Cap=帽子=ちゅうぐらい
-Bell=釣鐘=上がほっそり

という意味で付けられた名前かなと思います。低めの音を鳴らしっぱなしにして、ビジュアライザを開いておいて、音を聞きながら「LEVEL」ドロップリストを変えて比較してみると、なんとなくそんな風に見えてくるんじゃないかと思います(「角を落とす」の意味は時間軸に対してだけの話なので「釣鐘が撫で肩になる」のとはたぶん違う話なわけですが、明るさの重み付け的に、結果的に「なんとなくそんな風に見える」ような気がします)。

昔は「インターポレータ」とかいう表記がかっこよかった気もするんですが2016年現在は「補間」という言葉がいろんな文脈でわりときっちり当てはまる訳語として日常でも通じるレベルで定着してると思うので敢えて使う意味はないような気もします。

などといろいろ書いたんですがこの話題は次の「Interpolation」プリセットで扱われてる気もします。

''乗算:''
このプリセットで「乗算」云々という話が出てきてるのは「画像の役割はオシレータではない」ということの確認なんじゃないかと思います。極端な例で言えば「HarmorのTimbreがサイン波を生成するような設定であれば、全倍音全開するような画像(例えば真っ白な画像)を使ってもサイン波しか出力されない」とかいう事もできるかも知れません。元の音のpartialに倍率を与えるだけで、元が0なら何倍しても出力は常に0だし、元が小さければあんまり大きくならないということです。たぶん。

**Interplation.fst
|BGCOLOR(#ccc):LEFT:120|LEFT:520|c
|info|Interpolation for gain plane is set to "Block", try out other interpolation modes. The loaded image is a simple 8x8 checker board.&br;Try Image options - Edit image to see/edit the original checker image.|
|プリセット情報|このプリセットでは「gain plane」の補完モードが「Block」に設定されています。音を鳴らしながら、これをほかのモードに変えてみましょう(訳注:「画像」の右の、「縦に3つ並んだドロップリストの一番上。LEVELと書かれたラベルの上のドロップリスト」で「Block」が選択されているのでこれをBlock以外に変える、という話です)。この画像は元々「8x8ピクセルのチェッカー盤(チェス盤と同じ。日本では市松模様として知られる)」になっています。&br;「Image optionsメニュー > Edit image」コマンド(画像の左上にある▼印のボタンから開くメニューコマンド)で、本来のチェッカー画像を見て、編集してみましょう。|

''訳者コメント:''
「Block」補間モードと「Cap」補間モードの挙動の違いが何となく体験できればいいのかなという気もします。

マニュアル(IMGセクションは未訳だったかも)にも記述がありますが、「縦8ピクセルの一番上」は「8倍音にマッピングされる」とかいう話も、このプリセットの動きをよく見てると観察できます。

**Per-harmonic unison.fst
|BGCOLOR(#ccc):LEFT:120|LEFT:520|c
|info|This random freq cloud ("Generate random cloud") is mapped to unison width, resulting in a per-harmonic unison thickness.|
|プリセット情報|この「ランダム周波数クラウド(Generate random cloudコマンドで生成できます)」は、「Unison width」にマッピングされていて、ハーモニックユニゾン単位での「厚さ」を表現しています。|

''訳者コメント:''
画像の右下あたりにドロップリストが3つ並んでいる一番下の「Image freq mode」ドロップリストで「Unison」モードを選択した場合の話題です。プリセット情報を見ても正直意味がよくわかってないんですが、Harmorのマニュアルを見ると、この「Unison」モードでは、「画像はUnisonのデチューニングとして扱われる」ようです。
partial単位でデチューン量を変更できるというとHarmorの「Prism」と同じようなことができそうな気がするんですが、どうするとどうなるのか(「端的にはデチューンなしにするのは何色か」とか「デチューンの幅はこれのほかに何の影響を受けて最終的な値が決まるか」とか)まだよくわかりません。
ちなみに画像は縦516x横16ピクセルとなっているようです。
Unisonのpitchスライダを0にすると揺れがなくなるので、たぶん乗算的に動いているんだと思います。
Unisonの性質上、観察する場合はHarmorのビジュアライザではなく、WaveCandyを使うのがよさそうです。
プリセット的には特に触れられてないですが「Interpolation」プリセットとかは「gain plane(緑)」を扱ってたのに対して、この「Per-harmonic unison」は「freq plane(青)」を使っていて、画像は「音量」ではなく「周波数」っています。画像が「青黒いグラデーション」なのはそのせいです。

**Pixel to freq.fst
|BGCOLOR(#ccc):LEFT:120|LEFT:520|c
|info|Play with the "Image freq pixel scale" knob to control how much pixel brightness affects pitch. Also important is the "Image freq mode" selector, that allows a mapping linear in Hz or Octave.|
|プリセット情報|「Image freq pixel scale」ツマミを動かして、ピクセルの明るさがピッチ(音高)にどう影響を与えるか観察してみましょう。「Image freq mode」ドロップリストにも注目です。線形をHzとOctaveから選択できます。|

''訳者コメント:''
画像の右にツマミが並ぶパネルの下のほう、FREQと書かれた場所の下に並ぶ2つのドロップリストと、その右の黄色い「SCALE」つまみあたりの話題です。

HarmorのIMG画面において「青色はピッチの変化」、「濃いほうがたくさん変化」の意味となっていますが、黄色のツマミはこの「たくだん」の度合いを調整するものです。詳しくは見てませんが、青の濃さで元の音から上下へ1オクターブの変化。最大で2オクターブの変化。つまみ中央で変化0。という感じになってるようです。

黄色いSCALEつまみ左下のドロップリストを「Oct」から「Hz」に変えた場合の意味については数学に弱いのでコメントしないでおきます。

**Pixel to volume.fst
|BGCOLOR(#ccc):LEFT:120|LEFT:520|c
|info|Play with the "Image gain pixel scale" knob to control how pixel brightness is converted to audio level. This image is a linear fading out ramp that helps the calibration.|
|プリセット情報|「Image gain pixel scale」ツマミを動かして、ピクセルの明るさが音量にどう影響を与えるか観察してみましょう。この画像は直線的にフェードアウトするグラデーションでありカリビュレーションの役に立つでしょう。|

''訳者コメント:''
画像の右にツマミが並ぶパネルの下のほう、LEVELと書かれた場所の上のドロップリストと、その右の水色の「SCALE」つまみあたりの話題です。

このプリセットが何を言おうとしているのか、このつまみがどういう挙動をしているのかまだよくわかっていません。たぶん「Fruity Limiter」とか、「縦軸が音量、横軸が時間」として表示されるものを開いて観察すると意味がわかってくるような気もするんですが。
水色の「SCALE」つまみに関しては、「左にひねると単純に全体の音量が下がって右にひねると音量があがっている」ようです。


**関連項目
【Harmorの資料】

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