Harmorの標準プリセット」のうち、「Tutorials and tricks」カテゴリの

  • "info"テキストと翻訳
  • 使ってみてわかったこと

など。

Arpeggio.fst

infoArps are defined in envelopes, see "Arpeggiator break" in the point popup. Arps can be defined in any envelope (most often the volume one).
プリセット情報アルペジオの定義はコントロールポイントの右クリックメニュー「Arpeggiator break」の各種コマンドから行います。アルペジオの定義は、あらゆるエンベロープで行うことができます(最もよく使われるのは「Volume-Envelope」でしょう)

訳者コメント:
このプリセットはたぶん、Harmorの非常に重要な機能のひとつである「エンベロープの扱い」の紹介です。
このプリセット自体は「default」プリセットとほぼ同じで、ただ「Volume >Envelope」というエンベロープのみをいじっています。
「エンベロープ」は、DTMでおなじみの「ADSR曲線」の考え方を拡張したものです。

コントロールポイントって何?
というのは結構難しい話かも知れませんが、「HarmorのENV画面」の「折れ線グラフ」の「折れてるところ」と思えば大体あっているかと思います。「コントロールポイントにマウスオーバーするとマウスカーソルが変化」して「左クリックでドラッグすると動かせる」というのは多分言うまでもないかと思いますが、ここで右クリックすると、いわゆるコンテクストメニューが現れます。そのコンテキストメニューをよくよく見ると「Arpeggiator break」と書かれたセクションがあって「None, Previous, Same, Next」の4つから選択するようになっています。
とかいった話は、https://www.image-line.com/support/FLHelp/html/plugins/Harmor.htmあたりをかなり一生懸命読むと、図もあるので何をするものか理解できるんじゃないかと思います(図の扱いがメンドウなのもあって訳していなかったりもしますが)。

「アルペジオ」って何?
という話はぐぐれば解決すると思うしまともに話そうとするとかなり長くなるような気もするんですが、一応私なりに説明すると「ピアノでドミソの和音を鳴らすとき3つ一緒にじゃーんと鳴らすんじゃなくて、ばらばらにド・ミ・ソの順番でばらばらに鳴らすとなんかメロディっぽくてよさ気?」みたいな意味です。
ギターみたいな構造の楽器の場合、「同時に鳴らすよりぽろんと鳴らす方が楽」なこともあり、音楽的手法としてよく使うので、DTM方面ではよく専用の機能が用意されていて「ドミソを同時に鳴らしたら勝手にズラして鳴らす」という基本から始まって、「ドのキーを押したらテンポに合わせてド・ミ・ソの順に鳴らす」とか「下のドと上のドを続けて鳴らす」とかとかとか超絶変態的にバリエーションがあり、「あんまり考えなくてもキーひとつ(ないしふたつみっつ)押すだけでもっともらしい演奏ないし伴奏になる」機能として、DTMソフトではしばしば提供されています。
もともとは「分散和音」をあらわす言葉と思うのですが、まあそういう超絶変態的バリエーションが作られた結果「自動演奏機能」みたいな意味で使われる場合もあるようです。
FL Studioでは、標準プラグインの「Sampler」にすらArpeggiator機能が提供されているので、「Kick」1回だけセットしてあとはをArpeggiator機能だけでカオスなドラム演奏にしたりすることもできたりします。そのほか「ピアノロールのメニューコマンドの"Tools"」以下にはそれこそ超絶変態的に多様性のあるバリエーションが用意されています。

参考までに、このArpeggio.fstプリセットで定義されているアルペジオは「--▲▲▲(Same,Same,Next,Next,Next)」になってるので「ドミソ」を同時に押した場合はドドミソドドミソ...と演奏されます。3つ目の谷のコントロールポイント(7/10)は▲に見えるのに「Next」じゃなく「None」と表示されている!?ように見えますが、実はこれは2つのコントロールポイント(7/10と8/10)が重なって置かれているせいです。左ドラッグでちょっと動かすとNextとして定義されたコントロールポイント(8/10)が現れます。何でこうなってるかは謎ですが、たぶんプリセットのバグじゃないかなと思います。

Arpeggio 2.fst

infoThis random arp was created using the "Create sequence" tool in the envelope editor (accessed from the envelope editor menu).
プリセット情報この変則アルペジオは、「envelope editor」メニュー(「ENV画面の下、中央あたりにある小さい三角ボタン」をクリックすると現れるメニュー)の「Create sequence」ツールで自動生成しました。(訳注:例のように「Randomizeボタンで一発ランダム生成」もできますが、手動、半手動でこまごまちくちく作成することもできます)

訳者コメント:
このプリセットは「Create sequence」コマンドの紹介です。

「Arpeggio」プリセットとほぼ同じなんですが、エンベロープがかなり複雑になっています。

「Arpeggio 2」プリセットのエンベロープは何者か
ちなみに、このプリセットで定義されている「Volume >Envelope」エンベロープは、

  • FL Studio(DAW)側のテンポに合わせて音量を変化させることで、指定のリズムを刻む
  • 複数のノートが同時に演奏された場合、アルペジオとして「上・下・下・同・上・同・同」とノートを行き来する。

といった内容になっています。

くどくど説明するなら、たとえば、
「ドミソ(C4E4G4)」を同時に鳴らそうとした場合

ドから数えて
ミから数えて
ドから数えてドの下にはないので一周してソ
――――――
ソから数えて
ソから数えてソの上はないので一周してド
――――――
ドから数えて

ということで、
ミ・ド・ソ・ー・ソ・ド・-・ド
ミ・ド・ソ・ー・ソ・ド・-・ド
と繰り返します(このエンベロープの場合一周で「ミ」に戻ってくる(上と下の数が同じなので)ようですが、必ずしもそうなる必要はなくさらに複雑になる場合もあります(「Arpeggio」プリセットの方では「同同上上上」とか「上がる一方」になっているので同時発声数によって動作がいろいろになりそうです)。さらにノートオンのタイミングが同時でない場合は実質予想不可能なことになってくるかと思います)。

Create Sequence機能
エンベロープの曲線は手で書いてもいいのですが、このプリセットの場合はHarmorの内蔵する「Create Sequence」という機能で定義されています。「Create sequence」機能の画面はENV画面の中央下辺りにある「▼」印のボタンから開くメニューから起動します。
この機能は、(用語はよく知らないんですが)リズムマシンとかシーケンサーとか呼ばれるものに相当するんじゃないかと思います。詳細はここでは説明しませんが、DTM方面の人なら何となく使えるような気もします。FL StudioのプラグインのMiscellenious functions画面のArpeggiatorも似た機能ですが、Harmorのものはその延長です。
いわゆるモーダルダイアログになっていますが、あらかじめピアノロールで和音を鳴らすなどしておいてこの画面を開けば、演奏しながら定義することも可能です。

といった予備知識がそろったところで「実習の時間です!Create Sequence機能を使って実際に同じエンベロープを書いてみましょう!」というのが、このプリセットの趣旨なんじゃないかという気もしているんですが、結構複雑で大変そうです。私は途中で投げました。

Blurry unison.fst

infoWhen phase is set to "Full blur", unison has no audible period (but lower keys are noisy).
プリセット情報「ユニゾン」機能で「Full blur(phaseスライダを100%にした状態)」にすると周期的ノイズを避けることができます(低音ではノイズが酷くなります)

訳者コメント:
とかもっともらしい日本語訳を書いてみたもののどういう話かよくわかってません。
Unisonの性質上Subvoiceが干渉して意図しない「うなり」とかが発生するのを避けるためにSubvoiceごと(ノートごとも?)に位相をどうこうするとかいうことだと理解したんですが、「Full blur」というのがどういう設定なのか、どうすると実際の音がどうなって問題になるのか把握できてません。

Draw your filters.fst

infoDraw your filter shapes here.
プリセット情報自由に周波数フィルタを描いてみましょう。

訳者コメント:
「フィルタ機能」の「Custom shape」の紹介用プリセットです。
「フィルタ1」に「Custom shape 1」がセットされ、そのエンベロープである「Filter shape 1」がENV画面で開かれています。
「フィルタ」と聞いて「ああアレね」と思う人は、このエンベロープでは、

  • グラフの左端が20Hz(要は「一番低い音」)、右端が20,000Hz(要は「一番高い音」)。
  • グラフの縦軸の一番上が「その高さの音はフィルタしない」、グラフの一番下が「その高さの音を完全にフィルタする」

ということになってるはずなので、そのあたりを「理解」してたらあとはHarmorのエンベロープの「操作」を極めるのを目指せばいいと思います。

上に挙げた数値は、画面右上の「黄緑のツマミ」のうち、「widthと書かれたとこの上のツマミ」と「FREQと書かれたとこの上のツマミ」が中央になっていることで定義されてます。FREQとwidthを完全固定してツマミをなくしたのがEQ(イコライザ)とか言えるかも知れません。知りませんが。

フィルタとかぴんとこない、とか、興味ない、という場合は

  • 低めの音を
  • 出しながら
  • 曲線をマウス操作でいじって
  • グラフのここをこうするとこんな音、という変化に慣れる

というのでいいと思います(上の4つは全部重要です)。これに慣れたら既に、「フィルタ?ああアレね」というレベルな気がします。

Frozen LFO.fst

infoSee "Frozen LFO" in the envelope editor's menu.
Another way to achieve this is to turn "Articulator output smoothing" to the max.
プリセット情報この例では「envelope editor」メニューにある「Frozen LFO」トグルが「オン」になっています。"Articulator output smoothing"を最大値にしても同じ効果があります。

訳者コメント:
「Frozen LFO」がオンになっていると、「LFOによる変化は常に継続していて、キーを押した瞬間に、そのノートでは、固定される」ということのようです。
オンの状態とオフの状態で、「キーを小刻みにたたいて短い音を連続して出す」場合と、「キーを押しっぱなしにして長い音を出す」場合で、それぞれどう変わるか試してみると意味がわかると思います。
ということらしいんですが、どういう場面で使いたくなるのかは、知りません。もしかしたら電子音楽では一般的な概念かも知れませんが、「耳で判断してください」なのかも知れません。

FX mix envelope.fst

infoMasking the transient in the delay FX by using the FX / dry mix envelope.
プリセット情報FX/dryのmixエンベロープを設定することで、「delay」の掛かり方を変化させています。

訳者コメント:
Harmorの画面右下の「ENV」画面を「FX」ページに切り替えると、「Delay」エフェクトがオンになっているのがわかるかと思います。これのあたり方を「キーを叩いた瞬間は弱く、徐々に強く」なるようにしています。
エンベロープは、

  • 「上下の中央(0%)」が「wet」。つまりディレイが掛かった音。
  • 「上端(100%)と下端(-100%)」が「Dry」。つまりディレイを掛ける前の音。

となっているようです(上端と下端で意味が違うのかは、知りません)。
エンベロープの「左端を上下の中央に持っていく」と「のっけからすごくディレイがかかる」のがわかると思います。「これをエンベロープの左端をDryにする=音の鳴り始めにはディレイを掛けない」ことで、「さりげないディレイの掛かり方にする」ということをやってるようです。
この音色の場合、アタックからディレイの対象にすると「Pluckフィルタで削る前の高周波も削らずに、ノコギリ波っぽいのが何度も響く」ことになるので「フィルタで削っでサイン波に近づいたとこからかかる」ようにしようといった意図なのかも知れません。知りませんが。

Just intonation.fst

infoJust intonation (hold a chord) happens here in this mapping.
You can also drop Scala tuning files onto the GUI.
プリセット情報Harmorによる「純正律」の実装です。
Harmorでは「Scala tuning file」を読み込むこともできます。

訳者コメント:
「純正律って何?」という人は、気にしないのが一番。気になる人は調べてください。私は説明できません。
とりあえず「昔のヨーロッパでは一般的だった、楽器の調律法のひとつ」とか思ってればいいと思います。現代人が普段使ってる(?)のは「純正律」に対して「平均律」と呼ばれます。DTMソフトはデフォルトでは平均律を使ってるはずですが、MIDIの規格で「純正律で演奏するための規格」とかもあったような気がします。

Scalaというのは、そのMIDIを扱うソフトの名称のようです(Wikipedia「Scala (音楽ソフトウェア)」項)。

「純正律」自体に用があることは多くないと思いますが、この例が

  • 「Pitch」の「Keyboard mapping」のエンベロープを使っている

という点を頭の片隅においておくと、「サンプリング音源や、いろいろいじってるうちにピッチが狂った音色を音階に使いたい時の調律」とかいう必要が出てきたときに役に立つような気がします。
「キーボードマッピング」は、Pitch以外のエンベロープでも使えるようです。
ENV画面でロードできるState fileに「Pitch - kb - just intonation.fnv」というのがあるので、これを使えば任意のプリセットを純正律にすることができます。たぶん。「Chip」プリセットでもこれが使われてるようなので、その辺の、「特定のサウンドチップらしさ」とかいう需要もあるのかも知れません。

Legato with smooth mapping.fst

infoIn this preset, the Articulator output smoothing knob smoothes out the kb-mapped filter freq, making it bend for a longer time than the pitch.
プリセット情報このプリセットでは、「Filter 1 frequency-Keyboard mapping」アーティキュレータがグラフとして表示されていますが、これの「Articulator output smoothing」つまみ(訳注:ENV画面、「ENV」と書いてあるボタンのすぐ左にある「Z◎S」みたいなつまみです)の設定が「ややスムーズより(70%:1503ms)」になっています。これによってピッチが急激に変わった時にフィルタが遅れて変化するようになっています。

訳者コメント:
このプリセットでは「ノートが低音から高音に移動する時ローパスフィルタの中央周波数も低音から高音へ移動する」というエンベロープが使われているのですが、プリセットがロードされた初期状態では「Articulator output smoothing」つまみが「フィルタの変化が1503ms(1.5秒)かかる」ような設定になっています。
どう表現すべきかよくわからないですがフィルタの変化が1503ms遅れることで「ぼーーぎゅいーー」が「ぼーーっっぃいー」という感じになります。Visual feedbackを開いてで見ると「急斜面で密度が高くなるはずのところが黒くなる」ということになるようです。

Limited legato.fst

infoLimited legato: legato is only active within a defined range.
プリセット情報限定的レガート: このプリセットでは、設定された範囲でのみレガートが有効になっています。

訳者コメント:
このプリセットの主役は「Global」パネルの左上、「legato」スイッチと「limit」つまみです。
このプリセットでは「limit」つまみが21%(500cent)になっていることで、

  • 演奏中の音程変化が500セント(=5半音=たとえばドからファまでの音程)以下の場合レガートで演奏、つまり音程を滑らかに変化させる
  • 演奏中の音程変化が500セントより大きい場合、非レガートで演奏、つまり音程を急激に変化させる

といった動きをします。ドを押したままミ、ドを押したままソ、とか演奏してみると違いがわかるはずです。Visual feedbackを開いてを開いて見るともっとよくわかるかも知れません。
「LEGATOの音程変化時間が長い設定」で「短い音符が連続して音程が上下する」といったケースでは、「音程が次の音に変化しきる前に次の音符に向かって音程が変化し始める」といった、いわゆる「音痴になる」状況が起こりますが、これを避けるために「limit」つまみを調整するのが望ましい、という場合もあるでしょう。

Masking units.fst

infoHere, filter 1 is masked to be effective on 3 octaves in the middle.
プリセット情報この例では、「フィルタ1」が中声域の3オクターブでのみ有効になっています。

訳者コメント:
フィルタの動作制限をしています。
まず、このプリセットでは「Crude low pass」というタイプのローパスフィルタが設定されています。Timbreに設定されているのはノコギリ波なので、通常なら「低音だけパスして高音部はカットされる」はずですが、Visual feedbackを見ると高音部が鳴っています。
というのが前提で、その上で、このプリセットでは「Filter 1 mask」というエンベロープが設定されています。
この「Filter 1 mask」では「C5からC8の範囲以外ではフィルタの機能を0%にする」ように設定されていて、「C5より低い音とC8より高い音は、フィルタの効果でカットされずそのまま出力される、ということが起こっているようです。
音を鳴らしつつVisual feedbackを見ながら「Filter1のFREQツマミを端から端まで動かす」と、その様子が観察できるかと思います。
「この部分だけカットしたい」とかいう時には役に立つのかも知れません。よくわかりませんが。

Mod to distortion.fst

infoTry the "FX / dry mix" fader (or Mod Y) to control the amount of saturation.
Check the position of the "Dry mix" unit in "FX order", it's placed after the distortion unit, but before other units.
プリセット情報「FX / dry mix」スライダ(「Mod Y」でも操作できます)(訳注:「FX / dry mix」スライダは画面中央上のほうにあるfxと書かれたスライダ、「Mod Y」はGlobalパネルの四角い窓の下のつまみです)で「ディストーションのかかり具合」を変えてみましょう。
「ADV」ボタンで「ADVパネル」を開いて、FX ORDERリストで「Dry mix」ユニットが「DISTORTIONユニットの下、ほかのユニットよりも上にあることを確認してください。

訳者コメント:
この例では「fx(FX / dry mix)」スライダで「ディストーション」の制御をしているわけですが、「FX」パネルに並んだ「ディストーション」以外の、「コーラス、リバーブ、コンプレッション」は「fx(FX / dry mix)」スライダの影響を受けてないのはなぜなんだ、という話です。たぶん。

前提として、Harmorには「ディストーション、コーラス、ディレイ、リバーブ、コンプレッション」といった5つのエフェクタユニットが標準装備されています。
そして、Harmorでは、エフェクタの「順序」を変えることができます。その順序を設定するのが「ADV」パネルにある「FX ORDER(Effect processing order)」リストです。
(ここまでの話が「何言ってるかさっぱり」という場合は、FL Studioのエフェクトプラグインの「Hardcore」あたりをイメージするか調べてみると良いと思います)

その上で、「fx(FX / dry mix)」スライダもこれらのエフェクタと同列にある、と考えて、「FX ORDERリストでfx(FX / dry mix)スライダより上にあるエフェクタにのみ有効」、という仕組みのようです。
そして、このプリセットではDISTORTIONユニットだけがDRY MIXユニットより上にあるので、DRY MIXはDISTORTIONにのみ有効。という話です。たぶん。たぶん。

Modulation links.fst

infoHow things are linked to the XYZ modulator (here, filter frequency to X).
Also see "Quick map to" in knob popup menu.
プリセット情報XYZモジュレータの使用例です(画面上では「Filter 1 frequency > Modulation X mapping」エンベロープで「MOD X」つまみの意味が設定されています)。
各種つまみの右クリックメニューにある「Quick map to」コマンドも確認してください。

訳者コメント:
Globalパネルの右の方にある、小さい正方形の「X / Y / Z modulation」パネルの説明です。

「つまみ2つに相当する数値を、X-Y座標をポイントすることで操作する正方形パネル」というインターフェイスは、最近だと「スマホのような操作」で通じるぐらいに普及してたりしますが、これはその発展系です。X-Yはマウスクリック&ドラッグで、Zは標準ではマウスホイール(ホイールクリックも可)で操作するようになっています。

このプリセットでは、「Crude low pass」タイプの「ローパスフィルタの中央周波数」を「MOD X (パネルで言えば横軸)」に対応付けてあります。対応付けのために登場するのが「マッピングエンベロープ」です。
「マッピング」のエンベロープとして一番単純なのは通常は「左端が最低値、右端が最高値の直線」、つまり「MOD Xを左いっぱいにひねると中央周波数が最低値になる、右いっぱいにひねると中央周波数が最高値になる」というものになるかと思いますが、この例では「MOD Xを端から端まで回しても、中央周波数は最高値最低値にはならずほどほどの値(50%)になる=どう操作しても『それなりの音』が出る」ようになっています。

Noise mode.fst

infoIn noise mode, resonance width = noise length.
Make sure to flatten the resonance mask when using this mode!
プリセット情報レゾナンスの「Noise」タイプでは、「width」つまみは周波数帯の広さではなく「ノイズの長さ」の意味になります。
このモードを使う場合は、resonance maskを平坦に設定してください。

訳者コメント:
フィルタパネルの右にある「レゾナンス」には「Noise」という特殊なタイプが用意されています。実際にこのプリセットで音を出せばどういうものかわかりますが「ほうっておいてもぴこぴこちゃかちゃかいうプリセット」でよく使われています。
「フィルタ」とは「特定の周波数帯をの音の大きさを元の音より小さくする」仕組みなわけですが、「レゾナンス」は「特定の周波数帯をの音の大きさを元の音より大きくする」仕組みです。たぶん。

この例での「Noise」はその極端な使い方で、特定の周波数「だけ」を強調してそれ以外の音をカットするような動きをしています。resonance maskというのはフィルタマスクの場合と同様「レゾナンスの機能の働き方を音域によって調整するもの」で、最大値にしておくとレゾナンスの機能が全力で適用されます。「未設定のresonance mask」というのがどういうものかよくわからないのですが(確認したければ、たとえば「HarmorのDefaultプリセットでレゾナンスにNoiseタイプを設定してRESツマミを半分ぐらいあげてみる」とわかると思います)たぶん「自然に聞こえるように」設定されているんじゃないかと思います。このプリセットのような使い方では「不自然に聞こえるように」している(「それ以外の音」をしっかりカットするようにしている)、と言えるんじゃないかと思います。

また、「Noise」モードでは「width」ツマミは、この「特定の周波数」が自動で変化するまでの時間を指定するために使われます。なぜそうなっているかは不明ですが、width本来の意味の「適用する周波数帯の広さ」を設定する意味があんまりない、このほうが面白そうだから、じゃないかなと思います。

PWM.fst

infoHow to use phaser unit to achieve PWM.
プリセット情報Harmorの「フェイザー」ユニットを使ってPWM(Pulse Wide Modulation)の効果を得る例です。

訳者コメント:
ごめんなさいよくわかりません。
たぶん「Phaser width > LFO」エンベロープを使ってFM音源っぽいことをしている、ということんじゃないかと思います。
表示中のエンベロープの「SPD」つまみあたりを動かすともっともらしい変化をするようですが、理解するには基礎知識が足りません。

Reordering units.fst

infoTry moving the Harmonizer unit below Filter 1 to hear the difference.
プリセット情報HarmoizerユニットをFilter 1の下に動かして違いを聞き比べてください。

訳者コメント:
「ADV」パネルの「UNIT ORDER」リストの説明です。

Harmorの機能の多くは「ユニット」という単位で管理されていて、Timbreで発生した「信号」をさまざまに処理して次のユニットに渡す、という仕組みになっています。詳しくは知りませんが。
Harmorではこの「ユニットの処理順序」を、「ADV」パネルの「UNIT ORDER」リストを使って、デフォルトのものから変更することができます。

このプリセットの「プリセット情報」が言ってるのは、

  • 高周波の倍音を大量に発生させてキラキラにする設定のHarmonizer
  • 高音部をばっさりカットしてモコモコにする設定のFilter 1

という「2つのユニットの順序を入れ変えて」、「モコモコがキラキラになる」という体験をしてみよう、という話です。

だいじなのは「2つのユニットの順序を入れ変えて」の方です。「これをいじれば音がこうなる」という話じゃなく、「こういうときはこういう音になるように作ったはずなのに、この音域がどうこうされちゃってるのはどうしたら直る?」とかいう時に「何を考えればいいかのヒント」を与えるプリセットです。たぶん。
突き詰めると計算量を減らして軽くしたいとかいう時にも役にも立つような気もします。たぶん。

Unison voice control.fst

infoControl / refine each of the unison's voice independently, through the Unison index mapping.
プリセット情報Unisonでボイスを増やした際の、ひとつひとつのボイスの独立性と「Unison index mapping」でのコントロールや調整。

訳者コメント:
「Unison index mapping」エンベロープの説明です。

「ユニゾン」は通常、元の音を複製して、ちょっと変えて、同時に鳴らして、厚みを出す、といった機能ですが、Harmorではこの「ちょっと変える」ところが細かく制御できます。
このプリセットでは「Filter 1 frequency > Unison index mapping」エンベロープで、「Filter 1」の周波数(この場合はローパスフィルタの中央周波数)を設定しています。
このプリセットの場合、表示されているエンベロープが示しているのは大雑把に、「4人人が並んでいて左右の人は明るい音を出して右から二番目の人の音はちょっと暗い」といった設定です。個人的にこれが聞き取れる耳は持ってないですが「一度全部同じ値にして右端だけ値を上げてみるとかやってみる」と何が起こってるのかわかるような気もします。
「Filter 1 frequency」以外にも「Unison index mapping」が使えるターゲットはいくつかあって、「Pitch > Unison index mapping」エンベロープあたりで遊んでみると、「Unison index mapping」の意味がよくわかるかなと思います。

ちなみに、このプリセットの設定ではエンベロープには点が打てる縦線が4本あるかと思いますが、これはHarmor画面上部中央の「ユニゾン」パネルの「order」窓の数字の4に対応しています。「Unison index mapping」関係のエンベロープを開いたまま「order」窓をマウスドラッグして値を変更すると、エンベロープの縦線の数が変化するのを見ることができます。

関連項目

Harmorの標準プリセット】【Harmor


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Last-modified: 2018-05-18 (金) 17:38:01 (2370d)