VOCALOID2をDAWソフトのプラグインとして使用するためのVSTiの一つ。
VOCALOID2のパッケージに含まれる、
UI
VOCALOID2 Realtime VSTiのユーザーインターフェイスは大きく分けて2種類。
「スライダー状のつまみが並んでいるUI」と、「歌詞を入力するUI」。名称未確認。
スライダー状のつまみが並んでいるUI
スライダーは7つ。左から
- DELAY
- DECAY
- BREATHNIESS
- BRIGHTNESS
- CLEARNESS
- OPENING
- GENDER
との記述がある。
名称 | 初期値 | 範囲 | | |
子音変化の補正 |
DELAY | 100 | 0-1000 | | ディレイ。 VOCALOIDでは子音の発音に大きく影響。 「ま」と発音する場合、0だと子音が事実上無音。 100を大きく超えると「ァまー」と変化。 初期値を離れると母音もざらざらしたものに変化する。 |
語尾の補正 |
DECAY | 100 | 0-1000 | | ディケイ。 残響の長さに影響。0だと即座に減衰。 最大の1000では1秒近く音が残る。 100を大きく超えると「まーぁm」といった感じで変化して聞こえる。 |
声帯方面の補正 |
BREATHNIESS | 0 | -127-127 | | ブレシネス。 大きく上げると音質はざらついた感じ。 喉の奥で息漏れしているような音で、声の大きさは小さくなる感じ。 0未満では0と違いがわからない。 「ぼくの直観」的にはこれが一番「奥」。低い=声帯を緩める。 |
BRIGHTNESS | 0 | -127-127 | | ブライトネス。 -127ではこもった音に、127では明るい音になる。 -127は「喉の奥の方を広げた感じの音」だが、(少なくともミクの場合)歌唱的な響きが失われてる感じ。 127に振ったときは同時にざらつきが目立つ。 端的には0が自然と言えるが、あまり滑らかに変化している感じでもない。 「ぼくの直観」的には軟口蓋あたりの変化。 安定した音量の発声ができるなら広くした方が=数字を下げた方がよさそう。 |
母音の補正 |
CLEARNESS | 0 | -127-127 | | クリアネス。 数値を上げていくと「舌を上げて口の中を狭くしたような感じの音」になる。 …のだが、(ミクでは)50あたりからざらついたノイズ増えて母音的な変化に期待するのが難しい。 また、0と0未満は違いが聞き取れない。 「ぼくの直観」的にはこれは「舌」。 歌う限りにおいては上げていいことは一つもないけど ソロで音量は足りないけど目立ちたい時に音質を変えるためには使えるのかも。 |
OPENING | 0 | -127-127 | | オープニング?。 -127まで寄せると、喉の奥を縦に狭めたような音に変化。 0では「あ、お、う」だったものが「え」に近づいて聞こえる。 0以上では、0以下に振った時ほどんの変化はない。 「ぼくの直観」的にはこれは「下あごの開き加減」。 音を得るというより「母音を補正する」ための話で、 「え」っぽい音がほしいときに狭める=数字を下げる。 |
GENDER | 0 | -127-127 | | ジェンダーファクター。 -127に寄せると、口の前のほうを横に開くような音に変化。 127では口の前の方を縦に伸ばしたような「深い母音」に変化。 「あ」音であれば-127では「え」に近く、127では「お」に近づく。 元が「お」ならラテン語の歌の「o」のようになる。 「ぼくの直観」的にはこれは「唇の開き方と下の前方の動き」。 数字を低くすると「い」の口に数字を大きくすると「お」の口に。 原義は女性的男性的という話だけどよくわからない。 |
※「ぼくの直観」は「ミク」で1時間ばかりテキトウに音を鳴らして判断したもの。音源やバージョンやぼくの気分によっても評価が多分違ってくる。Realtimeじゃないヤツだとまた違ってくるかもしれない。
ボタンは2拓トグル状のものが2セットと5つ。上から順に
- MONO/POLY
- FADER/FIXED
- MIDI RESET
- SINGER
- LYRICS EDIT
- SETTINGS
- ABOUT
ボタン | 内容 |
MONO/POLY | MIDIでいうMONO/POLYモード変更。 POLYの同時発声は4音まで。 |
FADER/FIXED | MIDIのFADER設定。だが何のことか知らない。 |
MIDI RESET | MIDI RESETするらしい。 |
SINGER | 「Singer Editor [Read Only]」ダイアログが開く。 Vocaloid Editorで設定した「マイシンガー」に相当するものがリストされる。Add等のボタンはあるが非アクティブで、変更不可。 |
LYRICS EDIT | 「歌詞を入力するUI」を開く。 音を出すためには「これを開いた状態で」且つ「歌詞が入力済みで」 且つ「再生モードになっている」必要がある。 |
SETTINGS | Settingsダイアログボックスを開く。 ビブラート、ポルタメント、ピッチベンド幅等の音程変化の設定と、 メモリや音質といった品質の設定がある。 |
ABOUT | ABOUTダイアログボックスを表示する。 |
POLYモードの話
POLYモードは要するに和音が出る状態。Vocaloidユーザーなら「1シンガーで和音は出ない」という意味がわかると思うが、それが出るようになる。
具体的に何が起こるかといえば、MIDIキーボードで和音を鳴らせば、鳴る。
というのが非常に重要なのであるが、さらに、他では観察できないような現象も見られる。
端的に言えば、歌詞に「はろー」と書いてキーボードで「C」を押しつつ「E」を押せば、Eの音は「ろ」ではなく「あ」で発音される。「ノートが一つも鳴っていない状態」にしなければひたすら「はーーーーーーーー」が続いていく。
応用で、低音から高音に「はーーーーー」とつなげていくと、「低音の響きのまま高音が出る」。
そこで一回切って今鳴らしていた高音を鳴らすと今度は「高音の響きで高音が出る」といった現象が起こる。
言うなれば
に相当して、その使い分けができるものと考えられる。考えられるだけで実際原理がどうか、使いようがあるかは知らない。
実際の演奏やこれを音楽的に利用できるのかは正直わからないが、Vocaloidの発声の仕組みに「手軽に」迫れるんじゃないかとか思っている。思ってるだけで実際迫れるかは知らない。
同じキーを押しても前になっていた音次第で別な音質の音が出るということでもある。
歌詞を入力するUI
DAW上でVOCALOID2 Realtime VSTiの音を出すためにはここで歌詞の入力を行う必要がある。なきゃないで「ah」でも歌ってくれてもよさそうなものだが、そうはなっていない。
少なくともWindows7 64bit環境では「Singer Selectのドロップダウンリストが開かず、マウスクリックで操作不可能。「アクティブ化->カーソルキーで選択」もしくは「アクティブ化->マウスホイール選択」という変則的な操作が必要となっている。
ここではVOCALOID2 Editorで「歌詞の流し込み」を行う際と同様の記述方法が使えているようだが、詳細は研究が必要。
参考
2008年頃に「FL Studio 8のDashboardを使ってこれの代替UIを作る」という研究がされてたらしい。代替自体が役に立つかは不明だが、たぶんその辺を見るといろいろわかるはず。
あと、これができたということはFL Studioのオートメーションで声質いじったりとかいう研究もどこかでされてた可能性が高い(ってうわvsq出力までやってるのかこれ)。